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出星前夜 (飯嶋 和一) ★★★★ [読書]

 本屋大賞の候補になっていたので、この本の存在を知りました。手にとってみればかなりの厚さ。少し時間はかかりましたが、本の厚みと同じくらい、内容の厚みもある作品です。 舞台は江戸時代、寛永14年(1637年)の長崎、そして島原。いわゆる”島原の乱”をめぐる人々の生き様。主人公といえるのは3人かな。長崎の名医・外崎恵舟、有家村鬼塚の庄屋・甚右衛門(鬼塚監物)、そして有家村の若者・矢萩鍬之介(寿安)。長崎の代官・末次平左衛門を加えてもいいかも。それぞれの立場からの考え、特に気になるのは鬼塚監物です。かっての勇将が、平和を望んで田畑を耕し皆をまとめながら松倉家の圧政に耐えている。そして、鍬之介の行動をきっかけに、限界まで耐えた後での蜂起。島原の乱については全然知識がなかったのですが、単なるキリシタンの乱ではないのですね。

 この話の中で、注目した文章が三つ。
・人の器量は、病に罹り日頃の自尊心を失った時に決まって正直に現れる(75頁)。
・神などを信奉する者たちが、このようなすべての悲惨を引き起こした。そんな大人たちが殺し合いをするのは勝手だが、子どもらには何の罪もない(339頁)。
・風邪で養生が必要なのは、高熱が下がり、平温よりもっと低くなる時期です(479頁)。
三つ目は単に知らなかったから気になっただけですが、前の二つはいつも自分が感じていることだったのでね。

 ちなみに私はキリスト教は大嫌いです。キリスト教のために世界に争いが生まれてしまったというくらいに思っています。まぁ、その中の宗派の違いによっていろいろあるようですが。ただ、この島原の乱の話を読んで、日本人はキリスト教をうまく古来の何というか、日本人の根本とうまく融合させつつあったのかなと思いました。やはり日本人は凄いな。

 市立図書館で借りました。

出星前夜

出星前夜

  • 作者: 飯嶋 和一
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2008/08/01
  • メディア: 単行本



2009-04-28 01:50  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

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