SSブログ

いっしん虎徹 (山本 兼一) ★★★ [読書]

 江戸時代の刀鍛冶、長曽祢興里の物語。「火天の城」では安土城を作った宮大工の話でしたが、今回は刀鍛冶。この人は、昔の職人の話が上手い!
 越前の甲冑鍛冶として有名であった興里は、優れた刀をつくる志を持って江戸に出る。多くの苦難の後、名刀を作るのだが、とにかく”鉄”に対する姿勢がものすごい。だからこそ”職人”なのだろうけど、これでもかこれでもかと”鉄”に打ち込む。それを支える病身の妻、ゆき。そして、親の仇と思っていた興里に弟子入りする正吉。江戸での師匠となる兼重。御用鍛冶である、叔父の才市。興里の刀を評価してくれる、大僧都の圭海、試刀家の加右衛門。幕閣の争いに巻き込まれたり、偽医者にだまされたりもしながらではあるが、興里はひたすら刀鍛冶としての道を究める。刀というのは、そこまでしてつくるものなのかと感嘆させられる。死生の哲理をきわめる道具だと興里はいう。そして、”人の生き死にをつかさどる道具であるからこそ、刀で一番大切なのは品格である”と。

 市立図書館で借りました。

いっしん虎徹

いっしん虎徹

  • 作者: 山本 兼一
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2007/04
  • メディア: 単行本


2007-07-19 07:47  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証: 下の画像に表示されている文字を入力してください。

 

このブログの更新情報が届きます

すでにブログをお持ちの方は[こちら]


この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。