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「白い光」のイノベーション (宮原諄二) [読書]

 ゼミの先生お薦めの一冊。私たち人間は、「白い光」を求め続けてきた。そして約150年前から現在までに四つの光のイノベーションを実現させた(白熱ガス灯、白熱電球、白色蛍光灯、白色発光ダイオード)。その歴史を数々のエピソードとともに紹介しています。明かりについて興味がある方はご一読ください。
 いろいろ知らないことがたくさんありました。その中でもエジソンのことは正直びっくりです。小さい頃読んだ伝記では、ただすごい発明家であるとしか記憶していないのですが、発明家というよりは事業家だったんですね。もちろん自分の発明もたくさんあるのでしょうが、他人の発明を応用して特許をとり製品化する。特許訴訟をふっかけてライバルをたたく。へぇーという感じです。主題のひとつは「インベンション(発明)は必ずしもイノベーションにはならない」。エジソンもパイオニアではなく、先人たちの成果を巧に利用し、経済的効果を上げるきっかけをつくった最後の登場人物として紹介されています。中村修二さんと日亜化学との訴訟はまだ記憶に新しいところですが、なぜ”辺境”である日亜化学から画期的なイノベーションが生まれたかも詳しく書かれています。
 それにしても、この中に取り上げられている「原料のくびき」「帆船効果」「リニアモデル」「辺境効果」という切り口は、それぞれで一冊ずつ本が書けるほど面白いし、今現在でもいろいろな場面で起こっている現象だと思います。
 「白い光」は人間にとって特別な色なのですね。

「白い光」のイノベーション―ガス灯・電球・蛍光灯・発光ダイオード

「白い光」のイノベーション―ガス灯・電球・蛍光灯・発光ダイオード

  • 作者: 宮原 諄二
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞社
  • 発売日: 2005/12
  • メディア: 単行本

「原料のくびき」・・・原料によって自由を束縛されてしまうということ。原料である鉱石から必要な元素だけ取り出そうとしても、不要な元素まで取り出されてしまう。コストも上がるし、置き場にも困るというわけ。
「帆船効果」・・・革新技術の芽が無視できなくなることによって、既存技術が急速に進歩する現象
「リニアモデル」・・・科学の研究によって基礎をつくり、それを革新技術に仕上げ、独占的な商品に仕上げて多大な利益を生むというプロセス
「辺境効果」・・・”中枢”に情報や知識、資金、人材などの資源が集中する結果として、”辺境”は批判的となり、現状を変えていこうとする具体的な目標を持つことが出来る。また、全体に関心のエネルギーを注ぐ結果、プロセス全体を解決する問題点を明らかにすることができる。


2006-02-28 02:53  nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
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