SSブログ

沖で待つ(絲山秋子)&銀色の翼(佐川光晴) [読書]

 芥川賞候補作を2つ読んでみました。絲山さんの小説は(文学界9月号)、意外にもいつもより読み易く、淡々とではありますがスゥーと入っていけました。設定はやはりどこか怪しいですが(笑)。でも、なんか笑っちゃえる部分もありますね。PCのHDDに何が入ってるか想像できたときですけど。そろそろですかねぇ。
 
 佐川さんの作品を読んだのは初めてです。頭痛を題材にした夫婦愛がテーマのようです(文学界11月号)。話の筋もわかりやすいし、これまたサッと読めちゃいました。中でも主人公が鍼灸の力を次のように表現しているところが気に入りました。「疾病の根本的な原因を取り除こうと躍起になる近代西洋医学に対し、東洋医学は今ある心身の状態を認めたうえで患者の身体が本来もっている自然治癒力を増進させようと考える。つまり、完璧な身体などなく、それでもどうにか生きてゆこうとする人間を助けるのが鍼灸なのだ。」
 また、うつ病に関して、「治る治らないはあくまで患者の側の問題であって・・・患者にとって、病からの出口は、果てしなく長い時間をかけて暗闇を彷徨いつづけた挙げ句に、不意に目の前にあらわれるものでしかなく・・・」というふうに書かれていて、うまく表現できないんだけど「ああ、そうなのか」っていう気がしました。これかな?
 ちなみに「銀色の翼」というのは、片頭痛特有の兆候である”閃輝性暗点”のことです(芥川龍之介による表現)。


2006-01-14 00:51  nice!(1)  コメント(6)  トラックバック(1) 
共通テーマ:

nice! 1

コメント 6

百合

ひどい頭痛で大学病院にまで行って検査をした私。
ま、はっきりした原因は未だわからないのですが自分で思うにストレス以外の何者でもないかなぁと・・「銀の翼」読んでみたいです。
今度は図書館にあるかしら?(笑)
by 百合 (2006-01-14 13:24) 

kage

そんなにひどい頭痛だったのですか?この小説によると、頭痛にもたくさんの種類があるそうです(主人公は脳腫瘍の術後の頭痛ともう1種類の頭痛で、妻は片頭痛という設定です)。
もしこの作品が芥川賞をとると人気になってしまうかもしれませんから、いまのうちがいいかも(笑)。図書館の雑誌のコーナーで「文学界」の2005年11月号に掲載されています。
by kage (2006-01-14 14:30) 

百合

なるほど有名になってからではまた予約になってしまいそうですね。
早速明日にでも・・・そうなんですよ一口に頭痛といってもいろいろありまして・・
私もだいぶお勉強しましたよ(笑)
by 百合 (2006-01-14 17:22) 

友人K

kageさんのいう、絲山さんの「沖で待つ」設定の怪しさは、幽霊の存在なしでは立ち行かないところでしょうか。だとしたら、同感です。
読みやすかったでしょう?絲山さんは直木賞系だと思っています。芥川賞なら、『海の仙人』であげて欲しかった。こちらも、“ファンタジー”という人間じゃない登場人物(?)が出てくるので、インチキっぽいと感じてしまうかも知れませんが…。
長々と私見、すみません(汗)。
by 友人K (2006-01-14 21:42) 

友人K

西村賢太「どうで死ぬ身の一踊り」を読みました。これぞ私小説といった感じです。全部本当にあったことを書いてるんじゃないかと思いました。
恋人の親から多額の借金をし、恋人のパート収入で暮らし、恋人に暴力をふるい、逃げられるとしつこく謝り、戻るとまた暴力、という文学青年(中年?)のお話。って書くと、サイテーなDV男ですね。実際そういう話なんですけど(汗)。
DVに走る課程が詳細で馬鹿馬鹿しくて笑うしかありませんでした。作者の関係者は笑えないでしょうけど。
こういうのが文学なんでしょうね。情けなくてどうしようもないお話ですが、私はこのダメな感じが無視できない性格なので、選評を興味深く読んでしまいそうです。
by 友人K (2006-01-15 00:02) 

kage

「沖で待つ」は読みやすかったけど、幽霊が出てくる必然性がよくわからない。直木賞系かなぁ。ちょっと違うような気もする。前回の朱川さんの「花まんま」は不思議なんだけど、なんていうか知に足のついている不思議さとでもいうのか、ああ直木賞もっともと思えたんだけどね。
西村さんのはそんなにサイテーなDV男の話ですかー。あんまり読みたくないですね。やっぱり読後感がいいほうがなぁ。でも読み始めてはみるつもりですけどね。
私見、長々とOKですので、どしどしお願いします!
by kage (2006-01-15 07:04) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証: 下の画像に表示されている文字を入力してください。

 

このブログの更新情報が届きます

すでにブログをお持ちの方は[こちら]


この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。