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冷静に原発のことを考える [STS(科学技術社会論)]

 今回の福島第一原発の件は、テレビは見ませんが、常に関係者の健闘を祈っています。テレビを見ないのは、最初の3日間で状況はつかめた(稼働中の原子炉の爆発ということが絶対起きないと分かり、今後の最悪の状況は想定できるようになった)からで、あとは頑張ってくれ!しかないですからね。
 そんななか、大学院の恩師からメールをもらったので、いちおう科学技術社会論(STS)学会の一員として、ごく簡単ではあるが、冷静に考えてみた。

 原発と地震のことでは、東海地震対策のきっかけをつくった石橋克彦さん(一度だけ地震学会の休憩時間にお話をさせていただいて、修士論文の参考にさせていただきました)が以前から積極的に論陣をはっていますね。静岡県内には浜岡原発がありますので、もちろん関心はありますが、心配し過ぎて政策のバランスを崩してはいけないと思います。
 経済学者の池田信夫さんがおっしゃっるように、「原発のリスクはゼロではないし、ゼロにすべきでもない。リスクをゼロにするには原発をすべて止めればいいが、それは解決にならない。同じ基準を適用するなら、自動車も飛行機も禁止しなければならない。本質的な問題は絶対安全かどうかではなく、経済性とリスクをどう評価するかという経済的なトレードオフ」ということで考えなければいけないと思います。

 さて、今回の地震を受けて、今後も地震及び津波などへの対策は十分に必要だし、今回の津波の大きさを考えると、さらなる検討は必要だと思いますが、基本的には次のような認識でいます。

・今回の地震では、福島第一原発よりも震度が大きかったはずの女川原発はほとんど問題なかった(安全に停止した)。
・福島第二原発も問題なかった(安全に停止した)。
・女川と福島第一の違いは、まず第一に標高の高さ、つまり津波がどこまできたか。
・第二に古さ。福島第一の4つの原発は、すべて女川よりも古くから稼働していたもの。
・そんな福島第一でも、原子炉そのものは正常に停止し、稼働中の爆発という最悪の事態には至らなかった。
・浜岡の場合、女川より古いのは1号機と2号機だったが、二つともすでに運転停止し、解体作業に入っている。
・浜岡の場合、海岸との間に高さ12m程度の浜岡砂丘がある。
(+今回の地震を受けて、さらに防波堤をもう一つ作ることになった)

 このことから、普通に考えれば、想定される東海地震の規模なら問題ないと思っています。もちろん、東海・東南海・南海の三つの地震が一緒に起きて、想像できないことが起こるかもしれませんが、たぶんそうなると、今の状態でも、最悪でも福島第一原発の現況までには至らないでしょうし、それよりも津波で名古屋と大阪が壊滅することの方が重大でしょうね。やはり、どこまで、何の対策を、お金をかけて行うかという、まさに科学技術政策の分野の問題だと思います。

 現状で、もし何か一つだけしかできないとしたら、私は「原発震災対策」よりも「津波対策」をとにかくやらなければならないと思います。何しろ、静岡県内でも東海地震で津波浸水範囲とされる地域に多くの人が住んでいますからね。浜岡原発はいまのまま津波対策を上乗せするだけでいいと思います。

 もちろん、今回の震災を契機に、新たなエネルギー開発が進むことは期待したいです。原発の規模の代替エネルギーが難しいことはわかりますけど、原発であれ何であれ、何か一つに大きく依存することはよくないと思いますし、人間は電力の少ない時代には戻れないと思っていますので。

(4/2追記)
 浜岡原発では現在稼働中(点検中を含む)の3号機以降ではなく、すでに廃止している1号機と2号機の解体作業が一番心配なのだと思っています。


2011-03-27 02:42  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
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