空で歌う (中山 智幸) ★★&カソウスキの行方 (津村 記久子) ★★★ [読書]
またしても芥川賞候補の2作。こいつは悪くないかな。いずれの作者も初読。
「空で歌う」は、どうやら事故で亡くなった兄が宇宙遠望協会に託したものがロケットで打ち上げられるのを見に、兄の元カノと種子島に向かうお話。この話はもっとふくらませるととても面白くなるそうだけど、このままでは不完全燃焼だと思います。思わせぶりなところと、きっちり書くべきことが整理されていない印象です。群像2007年8月号に収録。
「カソウスキの行方」は候補作の中でNO.1だと思います。会社の後輩が受けたセクハラを部長に直訴したのに後輩に裏切られ、郊外の倉庫に左遷されたイリエは20代後半になる。倉庫には同い年の独身者、森川くんと二つ下で既婚者の藤村くんのほかにはパートさんだけ。同居させてもらっていた友人のしおりの結婚が決まり、イリエは会社が契約しているアパートに移る。寒い。そんな感じで話は進むけど、ときどき笑ってしまう場面もあり、楽しく読めます。なかなか素敵な小説だと思います。タイトルは何かと思ったけど、「仮想好き」の行方でした。群像2007年9月号に収録。
市立図書館で借りました。
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